2023.03.30
コード刺繍ってどんな刺しゅう?
みなさんは、テープやひもなどが、ロゴや模様を描くように服に装飾されているのを見たことがありますか。その装飾は、コード刺繍と呼ばれるもので、紐やテープをミシンで縫い付けていく特殊な刺しゅうなのです。
今回は、そんなコード刺繍をご紹介します。
目次
コード刺繍とは
コード刺しゅうとは、テープ・ヒモ・束ねた糸など、様々な素材を本縫いで縫い付けていく技法です。①テープ縫い(テープコード刺繍)、②千鳥縫い(千鳥コード刺繍)、③巻き縫い(巻きコード刺繍)の3種類の縫い方があります。
【別名:コーディングエンブロイダリー(cording embroidery)】
元来は手ハンドルという単頭の環縫い用のミシンで職人が1枚1枚仕上げていた加工で、それが多頭化(一度に複数枚縫える)及び自動化され発展したものが現在のコード刺繍機となり本縫いが主流です。
▽手ハンドルミシンについて詳しく
手ハンドルミシンなどの、サガラ刺繡に使うミシンをじっくり観察してみた
この自動化によってコード刺繍はデザイン性や生産性が大幅に向上しましたが、手ハンドルによるコード刺繍も職人の技として今も根強い人気があります。
昨今では少し工夫しただけのコード刺繍を、「特殊ミシン(ピーコット・ピンポイント・ハマグリ・ブランケット他)」や「特殊加工」と混同して呼ぶケースがありますが、ここは正しく使い分けたいものですね。
風合いと立体感ではジャガード刺繍を凌ぐ表現力があり、素材と縫い方の組み合わせによって無限にデザインのバリエーションが広がります。
3つの縫い方がある
①テープ縫い(テープコード刺繍)
テープ縫い(テープコード刺繍)は、テープ状の素材の中心や縁をステッチで縫い付けていく手法です。既製のコード刺繍用素材や、チュール・ベルベットなどのテープや生地をカットして使うなど、オリジナルな素材を用意することでより個性的な表現になります。
【こんな素材が使えます】 ジャバラテープ/サテンテープ/オーガンジーテープ/シフォンテープ/チュールテープ/革三つ巻きテープ/革断ち切りテープ/リリヤーン折紐/綿布帛テープ/カットソーテープ/他(使用可能テープ幅:3mm~50mm) |
※使用可能なテープ幅は素材・デザインによりますので、詳しくはお電話かお問い合わせフォームにてお問い合わせ下さい。
※生地をテープ状に加工する場合の輪切り・バイアス加工も承ります。詳しくはお電話かお問い合わせフォームにてお問い合わせ下さい。
②千鳥縫い(千鳥コード刺繍)
千鳥縫い(千鳥コード刺繍)は、様々な素材をジグザグに縛るように縫い付ける手法で、波打つようなラインが特徴です。
派生テクニックとして「駒縫い」や「浮かせ縫い」等、様々なテクニックがあり、他の刺繍テクニックとの相性もバツグンなので、テープ縫いと双璧を成す人気テクニックです。
また、近年では機械性能と加工技術の向上によってテープ素材や極太の素材も使用可能になっており、益々表現の幅が広がっています。
↓千鳥縫いの様子
【こんな素材が使えます】 各種糸引き揃え/リリヤーン折紐/ナイロン紐/スピンコード/各種意匠糸/各種テープ/ジャンボスラブ糸/他 |
※使用可能素材は身生地やデザインによりますので、詳しくはお電話かお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
③巻き縫い(巻きコード刺繍)
巻き縫い(巻きコード刺繍)は、芯糸になる素材を巻き糸でコイル状に巻きながら縫い付ける手法です。使う素材やステッチの細かさで、太さや風合いを変化させます。
かなり難しい技術のうえ時間も掛かるので、あまり見かけることはありませんが、縫い糸の見えない不思議な仕上りが特徴です。
巻コード刺繍も手ハンドルから自動化された技術の一つで、1993年、自動化の技術開発にタナベ刺繍が携わっています。
【こんな素材が使えます】 各種糸/金糸・銀糸(ラメ糸)/各種意匠糸/各種テープ/ジャバラテープ/他 |
※使用可能素材は身生地やデザインによりますので、詳しくはお電話かお問い合わせフォームにてお問い合わせ下さい。
まとめ
コード刺繍は、テープ縫い、千鳥縫い、巻き縫いの3つの縫い方があり、テープやひもを使って服に装飾する特殊な技術で、その独自の風合いと立体感で幅広い表現力があり、素材と縫い方の組み合わせや、他の刺しゅう技法と組み合わせることで、無限のデザインバリエーションが可能です。
テープ縫いでは素材の中心や縁をステッチで縫い付けて個性的な表現を生み出し、千鳥縫いでは様々な素材をジグザグに縫い付けて波打つようなラインを作ります。巻き縫いは、芯糸を巻きながら縫い付けて独特の風合いと見えない縫い糸の仕上がりを実現します。
このように、コード刺しゅうの魅力は尽きませんが、素材の調達やミシンのセッティングに時間が掛かることがデメリットで、他の刺しゅう技法に比べて、少量生産になるほどコストが高くなってしまう傾向にあり、海外生産が中心になった現在では店頭で見かける機会が少なくなりました。
タナベ刺繡ではコード刺しゅうの技術を絶やさないよう取り組んでいますので、コード刺しゅうにチャレンジしたい場合は遠慮なくお電話又はお問い合わせフォームよりご連絡ください。